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活動報告の詳細
緑の回廊講演会Part2「河畔林の勉強会」報告
2007.11.10
11月10日(土)午後2時から、南区民センターにて、「河畔林の勉強会」を開催しました。
 講演「河畔林の役割を考えよう」では、パワーポイントによる説明の後、実際の増水時のビデオ映像があり、河畔林の中の流れが意外にも緩やかなことを気づかされ、河畔林の役割がよくわかりました。
 後半の「意見交換会」では、アンケートをもとに進行しました。「一般市民として、何をしたらいいのか」の質問が多くあり、28名の参加者は真剣な表情でした。稗田さんは、「川をよく観察して、疑問があったら、管理者に納得いくまで説明を求めていくことが大事」と力説されていました。

・・アンケート結果 (19人/28人中)・・
アンケートの内容と稗田さんのコメントを掲載させて頂きます。アンケートにご協力いただいた皆様、質問に丁寧にお答えいただいた稗田さん、ありがとうございました。

質問
(稗田さんに対する質問)

1.魚の撮影から川の保全活動にいたった経緯を
教えてください。
○撮影していた川から魚がどんどんいなくなるので、“変だな…変だな…”と疑問を感じて、川を観察するようになった。また、魚たちの産卵行動を撮影していて、“魚たちが川の仕組みを教えてくれている”ことに気づき、川に関心を持つようになった。現場を知る人間が声を上げなければ、誰も気がつかない間に川が壊れ、魚がいなくなるという危機感を感じて、やむなく、現場から声を上げることにした。

2.写真撮影で産卵床の撮影を実施されていますが、サクラマス等の産卵現場での状況を教えてください。河川改修の影響はありますか?
○こぶし大の石が減り、砂や泥がたまり、産卵床が減っている。産卵床に生み落とされた卵は川底に埋められるが、石と石のすき間に砂や泥が入り込み、水が通り抜けるすき間が目詰まりを起こす。卵のまわりの水の入れ替わりが無くなり、卵は窒息し、卵が育たない。以上の理由から、砂や泥が溜まり始めた川から、魚は姿を消してゆく。
河川改修は河床のわき水や透水性を萎えさせたり失わせたりする可能性がある。また、床固工が敷設されると魚は産卵出来なくなる。川底には魚の卵を育てる水の流れがあり、仕組みがあることを知って欲しい。

(河畔林に関する質問)

3.木に草がからまると、それほど増水時に木に負担がかかるのでしょうか?
○川水が流れやすいように間伐されると、増水時に河畔林内の流れが早くなり漂流物も流れ込むようになり、木に草が絡みます。草が木に引っかかれば、水が当たる面積は増えることになりますから、その分量だけ水のエネルギーを多く受けることになり、木は倒れやすくなります。
一方、密生した河畔林では、ビデオでご覧頂いたように、流速が弱まり草や流木を河畔林内に入り込ませないので、河畔林の木は倒れません。

4.密生している河畔林では、増水時に魚が取り残される事はないですか?
○自然の状態では何度も冠水しては水が引くことを繰り返していますから、自然に水が戻る道筋“水道(ミズミチ)”ができているはずです。従って、増水時に強い流れを避けて密生した河畔林に避難していた魚たちは水が引くときにこの“水道”を通って、本流に戻ることになります。しかし、池みたいになっているとこがあれば、そこに取り残されて戻れなくなる場合もあり得ます。

5.密生した河畔林の役目を教えてください。
○?流速を弱め、流木を防ぐ
 ?太陽の直射をさえぎり水温を安定させ、魚の
  生息環境を保つ
 ?野生動物の生息場所

6.流木の原因を教えてください。
○?抜き伐りで、早い流速が当たり押し倒される
 ?抜き伐りで、草や流木が引っ掛かり倒れ込む
 ?河床低下※によって河岸が崩れて、河畔林が倒れ込む
※河床低下:ダム等の構造物の上流側に砂利がたまり、その下流側では砂利が流されていくのみで、補給されないため、砂利不足となり河床が下がる。
砂利不足は魚の産卵床の消失ともなり、深刻な問題である。

(工法に関する質問)

7.蛇行工事・復元工事をどのようにお考えですか?新たな公共工事としか思えませんが。
蛇行復元工事・河岸を広げる現場に行くので、アドバイスをお願いします。
○流域全体で考え、上流下流の関係を検討することが必要です。

8.川水が流れやすいように河畔林を伐採して平らに整備すると、多くの魚が取り残されるが、どういう対策があるでしょうか。
○人工的に平らにならした場合には、冠水した水が本流に注ぎ、魚や水生昆虫たちが取り残されないように“水道”を造る必要があります。

9.砂利を川に戻すためには、どんな方法があるでしょうか? 上流の堰にたまった土砂を下流に運んでも、急な流れに持って行かれて
しまうでしょうか?
○川は川ごとに砂利の流れ方が異なりますから、専門家を交えて、その川に合った方法を十分に検討する必要があります。段階的にV字型のダムにし、川の様子を見ながら安定したら、撤去する工法、ダムの流れ込みに溜まっている粒径の大きな石をダムの直下に運ぶ工法も考えられます。

10.今年、湧別川が異常ににごっていました。高速道路工事の土が川のそばで積み上げられて、ブルが川を横断しています。対策はありませんか?
○河川法により泥水対策が義務づけられているので、河川管理者や行政など指導的立場にある組織に申し入れをして、対応してもらうのが良いでしょう。現場の業者に直接クレームを入れない方がいいでしょう。

(対策に関する質問)

11.実際に河床低下や河畔林伐採が行われている問題に対して、一般の人が解決するためにはどういうことが出来るでしょうか?
○管理者に納得がいくまで説明を求める。やりとりをすることによって、お互いに学ぶ。

12.一旦悪循環に陥った荒廃する河川を救うのは難しい事とは思いますが、どんな方法・手段が考えられますか?
○河川管理者とじっくりと話し合いをすることだと思います。また、個人で対応するよりも、団体で対応する方がベターです。お互いに学び合い、智恵を出し合う姿勢が良いと思います。

13.河畔林を伐採したり、河岸崩壊してしまった河を再び元に戻すためには、個人としてどのような活動をすればといでしょうか?
○流域全体をじっくりと見て観察してほしい。メカニズムを見てほしい。地元から声を上げ、調査してもらう。管理者に説明を求める。


ご意見

1.河畔林には大きな役割があり、大切にしていかなければいけないと思いました。
2.自然を守るという観点からの河畔林の意義がよく分かった。できることとできないことを感情に流されず、冷静に見つめ直したい。とても勉強になりました。
3.河畔林が伐採されていること、河畔林の役割について今まで知らなかったので、とても良かったです。
4.生き物のために十分な密度のある河畔林を維持できるような治水対策を考える必要があると思いました。
5.堤に木を植えられなかったことは知りませんでした。早く河畔林の大切さの認識が広がり、川側にも植樹できるように法改正してほしいものです。とても勉強になりました。
6.河畔林が本来の役割を果たすためには、十分幅の広い河川区域が必要なのだと思う。洪水を早く流すより、遊ばせながら流すことを考える必要があると思いました。
7.住まいの近くの琴似発寒川でも昨秋河畔林がかなり伐採されてしまった。小鳥のたくさんいた所だが、それどころの話ではない事が今日わかりました。ダムの問題も含め何とか河川管理者の認識を変えてもらわねばならないと思いました。
8.魚道もよいことと思っていたが、弊害もあり、何がよいことなのか見きわめなければいけないと思いました。
9.今回の勉強会で、自然を見た時に人工的な施設をあまり疑問を持たずにいたのだが、問題意識を持って見ることができるようになり、周辺で行われる少しの工事も気になる。たくさん学ぶことで何が大事かそうでないのか自然破壊をくいとめる力になる「知は力」をたくさん広めることが大切です。
10.一本の川全体を見なければとのお話でした。日本の川の困った状態をどうしたら直すことが出来るのか心配しています。
(ア) 一人でも多くの人に知らせること
(イ) 河川管理者に自覚してもらうこと
(ウ) 河畔林伐採をやめさせること
11.役所の公共工事が自然に対して悪循環になっていることをもっと公にしなければいけないと思いました。

ご感想

12.映像で見ると話がわかりやすかった。
13.前回のスライドを含めて、とても説得力があって、ありすぎて気持ちが暗くなる程です。
14.川が壊れてゆく現実と人間の愚かさにやりきれない思いがしました。絶望的・・・
15.必要でない河川工事は、しないでほしいと思いました。
18.カメラマンの人がこれほど川のことを勉強しているとは正直驚きました。
19.河畔林をどの様に植えていくのか?植えていくと良いのか?(樹種・色・高さ)という勉強会かと思っていました。
20.面白い見解だと思いました。


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