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活動報告の詳細
きたネット全道交流会報告
2005.10.22
2005年10月22日札幌ファクトリーにてきたネット全道交流会が開催されました。トークセッション「北海道のトラストを考える」では、エコネットワークの小川さんがコーディネータ、コメンテーターはファウラ編集長の大橋さん、パネリストとしてウヨロ環境トラストの辻さん・霧多布湿原トラストの三膳さん・前田一歩園財団の山本さん、そして回廊基金からは小林代表が参加し、北海道のトラストの方向性を探りました。
また、きたネット広場でのパネル展に出展し活動をPRしました。
23日は回廊基金の活動地の火山灰採集地を見学してから、北の里山の会の例会のササ狩りで一汗流した後、おいしい飛鳥鍋をごちそうになりました。
他団体と交流ができ、有意義な2日間でした。


以下、トークセッションの内容です。
 10月22日(土)に第3回北海道市民環境ネットワーク全道交流会がサッポロファクトリー二条館地下1階催事場にて開催された。13:00〜14:30には、「北海道のトラストを考える」と題して、コーディネーターにエコネットワークの小川巌氏、パネリストに道内でトラスト活動を実践している4団体の方、そしてコメンテーターとして大橋弘一氏が加わり、トークセッションが行われた。
 まず、各団体がどんな活動をしているか自己紹介から始まった。
 NPO法人ウヨロ環境トラスト(辻 昌秀氏):貴重な自然というより、田園的景観・里山的景観という地域の自然の保全をしている(カントリートラスト)。主な活動は1号トラスト地(2.2haのカラマツ林)とその周辺(5.3ha)の保全・森づくり活動と子どもを集めたキャンプ等の環境学習活動。
 財団法人前田一歩園財団(山本光一氏):阿寒国立公園にある阿寒湖周辺の山林(3800ha)を管理している。前田家の土地を昭和58年寄付し、前田一歩財団が誕生した。明治末木材生産をしていたが、「伐る山ではなく観る山である」と気づき、300年後の森づくりをしている。、つまり原生林ではなく復元した森の保全である。
 NPO法人真駒内芸術の森緑の回廊基金(小林 保則氏):住宅地に近い山林におけるゴルフ場建設反対運動をきっかけに1997年に設立された。札幌にあるトラスト団体で、所有するトラスト1号地は280平方?と狭い。
 認定NPO法人霧多布湿原トラスト(三膳時子):海の近くにある湿原の保全を任意団体で15年、NPO法人になって6年目で、おととし認定NPO法人になった。(寄付控除があり、企業から寄付を受けやすくなった。)活動は借地から始まり、今現在300haの土地を所有している。
 大橋 弘一氏(ファウラ編集者):北海道の自然を作品に託して伝えるため、カメラマンが力を合わせて作っている雑誌。雑誌を媒体に、守りたい自然や各の活動を全国に知ってもらう方法もある。
 小川 巌氏(エコネットワーク代表):ナショナルトラストはイギリスで始まり、民間団体が市民のお金を歴史的・自然的資産に当てて、買い取って、公開しながら保全している。総面積23万haもあり、イギリスをまねできない。今日のパネラーの4団体は、それぞれ面積・環境が違い、それぞれの手法で活動している。 
 三膳氏:霧多布は借地から始まった。価格は100円/坪で、湿原の周辺の山林も含め、300haの土地を所有している。
 小林氏:札幌の山林の価格は、霧多布のおよそ100倍。有姿分譲された土地が主で、所有者が土地に対する思いが少ないため所有するか否かと思われるので、借地は考えていなかった。また、都会に近いため、守りたい自然を伝えると破壊が懸念される恐れがあり、一方伝えて理解してもらう必要もあり、いつもそのジレンマに苦しむ。
 辻氏:他地域との関わりとしては、トラスト地の周辺森林の所有者の許可を得て、その山林の手入れをしている。また、ウヨロ川河口から上流に向かってフットパスづくり等をしている。
 山本氏:周辺は国有地で、他地域と一括した管理としては、マリモの生産地チュールイ川河川管理の協定をしている(官と民の共同作業)。また、阿寒湖の南側は観光地で年間200万人もの人が訪れ、北側の森林地帯は観察会・植樹祭等では入林できるが、一般人の入林を制限している。ピーアールすればするほど悪影響があり、観光は収入源でもあるので、観光と保全との調整は難しい。
 三膳氏:霧多布は観光地というより穴場。あまり知られていないので、もっと知ってもらうためファン作りをし、ツァーを企画して実際に見てもらったりして、ピーアールに力を入れている。会員は道内より道外の人が多い。また、湿地を保全しているうちに、海の幸や酪農が豊かになり、自分たちのしていることは結局「地域・まちづくり」だったと気付いた。
 辻氏:観光地でない中でのやりやすさ・難しさとしては、里山の保全管理をするボランティアを増やしたいということ。会員は38名で、地元の人が多い。
 小林氏:どうやって人を集めるか悩んでいる。ゴミ拾いは人がなぜか集まる。講演会を企画したりしているが、ピーアールすればするほど破壊につながり、気がつかないから残っている可能性もある。どうやって伝えたい自然を伝えれるか悩むところ。
大橋氏:フットパスや講演会などそれぞれの工夫で伝えている。また、マス媒体をうまく利用し、草の根的活動とマスコミ(テレビ・新聞)の両方から伝えることもできると思う。
 小川氏:トラスト面積・環境が違い四者四様だが、目的はそう違わない。単独で活動するのではなく、地域・学校等と連携して運動を展開していくことや行政に働きかけることも必要なのではないか。また今後、トラストの概念が国民的に広まり、遺言等で寄付金が増えればよいと思う。

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